『いつか、きっと』
文 ティエリ・ルナン
絵 オリヴィエ・タレック
小さな島に、子どもがひとり、すわっていた。
子どもは世界をながめ、考えた。
戦う兵士たちがいる。
飢えに苦しむ人がいる。
広い海がある。
深い森がある。
力をかさにきた人がいる。
それを見て子どもは思った。
いつか、きっと、
銃の先を、小鳥の止まり木に、
投げ縄で雲をあつめ、砂漠に雨を降らせよう。
よごれた水をきれいにし、浜辺でまどろみ、夢を見よう。
草に寝ころび、木々の声に耳をかたむけよう。
あの人の目をひらかせよう。
流れる涙がある。
それを見て子どもは思った。
ほほよせ、抱き合うことをためらってはいけない。
いつか、愛してると言えるようになろう。
愛してると言われたことがなくても。
最後にもう一度、
子どもは島から世界をながめた。
そして、心を決めた…
…ここに、生まれてこようと。
娘が2歳の時、図書館でぽとりと落としたこの絵本。
今では大切な絵本

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